「仮定法が、よく分からない…。」
「時制ごとの違いが、いまいち理解できない…。」
「どこかで仮定法について、わかりやすく説明されていないかな…。」
この記事は、そんなお悩みを持った方に向けて書いています。
目次
仮定法とは
人の会話というのは、「今日は朝ごはん食べなかったんだ。」「週末、どこかに行こうよ!」といった、現実世界の話だけで成り立っている訳ではありません。「今回は新幹線を使ったけど、飛行機で行ってたらもっと早かったんだって!」「野球選手になれたら、どこの球団に入りたい?」などと、たまに空想世界についてお喋りすることもあります。この空想世界について話すときの英語の使い方を、仮定法と呼びます。
推量 - would/could/might
(※ もちろん実際に犬を飼っているかどうかは、この2文だけでは分かりません。通常の文は “現実に対するコメント” であるのに対し、would を使った仮定法の文は “空想に対するコメント” であることがポイントです。)
この例にある would のように、助動詞 would/could/might を使うことで、空想世界について話しているニュアンスを表現することができます。もう少し、詳しく見ていきましょう。
仮定法における役割
would
would は特に、 “意思” や “所感” などに対する推量を表します。
■ It would be nice to have a dog.
(犬を飼うのは良さそうですね。)
■ Imagine yourself in her place. You would also be angry.
(彼女の立場にいることを想像してください。あなただって怒るでしょう。)
■ It would be cheaper to go by train, but I’ve already booked a flight.
(電車で行ったほうが安いでしょうが、私はすでに飛行機を予約してしまいました。)
could
could は “できる・できない” の推量を表します。
■ I’m so hungry. I could eat a horse.
(私はとてもお腹が空いています。馬一頭だって食べられるでしょう。(慣用表現))
■ Without your help, I couldn’t have done it.
(あなたの助けが無ければ、それをやり遂げることは出来なかったでしょう。)
might
might は “可能性” の推量を表現します。
■ I might have become a doctor but I chose to be a programmer.
(私は医者になってたかもしれないのですが、プログラマーになることを選びました。)
■ Someday we might communicate with animals.
(いつか、私達は動物と話すかもしれません。)
仮定法以外での役割
助動詞 would/could/might は、仮定法以外でも使えます。細かい説明は割愛しますが、少しだけ意味と例文を見てみましょう。仮定法で使う時は “空想” を描写しているのに対し、下記の例文は “現実” を描写しています。
■ would:will の過去形, 意思, 推量, 過去の習慣 etc
He said he would email me.(彼は私にメールしてくれると言ってました。)
■ could:can の過去形, 能力, 推量 etc
I couldn’t sleep very well.(あまりよく眠れませんでした。)
■ might:may の過去形, 可能性, 推量 etc
She might know it.(彼女はそれを知っているかもしれません。)
尚、助動詞について詳しく知りたい方は、こちらをご参考ください。
英語の助動詞を使いこなそう!使い方や意味の違いを、一覧でくまなく解説
願望 - wish
動詞 wish を使い、空想的な願望を表現することができます。wish を仮定法で使う際は、基本 “I wish (that) [願望の内容].” の形を取り、 [願望の内容] の時制は過去形になります。
[願望の内容] には、主に以下3パターンの文が入ります。
・仮定法過去
・仮定法過去完了
・助動詞 would/could の文
仮定法過去
I wish (that) に続く節が過去単純形/過去進行形 (did, was/were doing) の時、時制が現在の願望が表現されます。
■ I wish I had more time.
(もっと時間があればなあ。)
■ I wish it was not raining.
(雨が降ってなかったらなあ。)
■ I wish I were a bird. ※
(私が鳥だったらなあ。)
※ 例外ルールとして、現実には決して起こり得ない内容を表す際は、I のBe動詞が was ではなく were になります。
仮定法過去完了
I wish (that) に続く節が過去完了形/過去完了進行形 (had done, had been doing) の時、時制が過去の願望が表現されます。
■ I wish I had applied for that job.
(その仕事に申し込みしていればなあ。)
■ I wish she had come last night.
(昨晩、彼女が来てくれてたらなあ。)
■ I wish I had been working with you.
(あなたと仕事していたならなあ。)
助動詞 would/could
I wish (that) に続く節に、助動詞の文を置くこともできます。
■ I wish she would give me a chance.
(彼女がチャンスをくれたらなあ。)
■ I wish I could go back in those days.
(あの頃に戻れたらなあ。)
■ I wish you could have come to the party.
(あなたがパーティーに来れていたならなあ。)
設定 - if
接続詞 if を使い、「もし [設定の内容] なら [主節] だ。」という文を作ることができます。仮定法の文として [設定の内容] に空想の内容が入る場合、[主節] は助動詞 would/could/might を使った文になることが多いです。
助動詞 would/could/might については本記事のはじめに解説したので、この章では [設定の内容] の作り方について見ていきましょう。主に4パターンあります。
・仮定法過去
・仮定法過去完了
・助動詞 could
・仮定法未来
仮定法過去
If 節が過去単純形/過去進行形 (did, was/were doing) の時、時制が現在の設定が表現されます。
■ If I had his number, I would call him.
(もし彼の電話番号を知っていたら、電話するでしょう。)
■ If you won the lottery, what would you buy?
(宝くじに当たったら、何を買いますか?)
■ If he was not busy, he would help you.
(もし疲れていなければ、彼はあなたを手伝ってくれるでしょう。)
仮定法過去完了
If節が過去完了形/過去完了進行形 (had done, had been doing) の時、時制が過去の設定が表現されます。
■ If you had bought it online, you would have got 100 points.
(もしあなたがオンラインで買っていたら、100ポイント獲得できたでしょう。)
■ If I had come on time, I wouldn’t have missed his performance.
(もし私が時間通りに来ていたら、彼のパフォーマンスを見逃すことはなかったでしょう。)
■ If I had been invited, I would have attended the party.
(招待されていたなら、私はパーティーに参加したでしょう。)
助動詞 could
If節に could を使い、「もし〜できたら」という設定を表すことができます。
■ If I could speak English, I would live in the U.S.
(もし英語が話せたら、アメリカに住むでしょう。)
■ If you could see the future, what would you do?
(もし未来が見れたら、何をしますか?)
仮定法未来
were to
“If S were to xxx, [主節].” で、「もし xxx することになれば [主節] だろう。」の意味になります。主語が I や三人称単数でも were を使います。
■ If he were to fail, he would try again.
(もし失敗することになっても、彼はまた挑戦するでしょう。)
■ If I were to be born again, I would like to be a bird.
(もし生まれ変わるなら、鳥になりたい。)
should
“If S should xxx, [主節].” で、「万が一 xxx になれば、[主節] だろう。」の意味になります。一般的に “仮定法未来” と呼ばれる用法の一つですが、実現の可能性が全くない内容には使えません。
■ If it should rain tomorrow, the event would be canceled.
(万が一明日雨が降れば、イベントはキャンセルされるでしょう。)
■ If an earthquake should occur, I would immediately take cover under a desk.
(万が一地震が起きたら、私はすぐに机の下に隠れるでしょう。)
仮定法以外の使い方
ifは仮定法にだけ用いられる訳ではありません。詳しい説明は割愛しますが、少しだけ、仮定法以外の使い方も見ておきましょう。
■ 現実にもありえる設定をする
If you have any quiestions, please let me know.(もし何か質問があれば、私にお知らせください。)
■ when と同じように使う
If you have a cold, you should stay home.(もし風邪を引いたら、家にいるべきです。)
■ 「〜かどうか」を意味する節を作る
I don’t know if he comes.(彼が来るかどうか、分かりません。)
以下の記事では、if の仮定法以外の使い方ついて、少し紹介しています。
英語でよく使う接続詞の一覧|図解と例文でスッキリ理解!
実現を目指すこと(提案, 主張, 要求 etc) - suggest, insist etc
提案/主張/要求などを意図する文の that 節中 では、動詞が原形になります。この時 that 節中には、現実にはまだ実現していない内容が入ります。尚イギリス英語では、動詞の前に should が置かれます。
■ I demand that I (should) be promoted.
(私は昇進を要求します。)
■ We suggest that the company (should) consider installing more projectors.
(私達は、会社がより多くのプロジェクターを導入することを提案します。)
まとめ
では最後に、ポイントをおさらいしましょう。
- 仮定法は空想世界を描写する
- would/could/might→推量を表す
- would:”意思” や “所感” などに対する推量を表す
- could:”できる・できない” の推量を表す
- might:”可能性” の推量を表す
- wish→願望を表す
- 仮定法過去:that 節が過去単純形/過去進行形 (did, was/were doing) の時、時制が現在の願望が表現される
- 仮定法過去完了:that 節が過去完了形/過去完了進行形 (had done, had been doing) の時、時制が過去の願望が表現される
- 助動詞の文との組み合わせも可能
- if→設定を表す
- 仮定法過去:if節が過去単純形/過去進行形 (did, was/were doing) の時、時制が現在の設定が表現される
- 仮定法過去完了:if節が過去完了形/過去完了進行形 (had done, had been doing) の時、時制が過去の設定が表現される
- 助動詞 could を使い、「もし〜できたら」という設定をすることも可能
- 仮定法未来
- were to:もし xxx することになれば [主節] だろう
- should:万が一 xxx になれば、[主節] だろう
- 提案/主張/要求などを意図する文の that 節中 では、動詞が原形になる
ネイティブの会話でも、仮定法は思ったより頻繁に使われます。この記事で基本的な知識は習得できたので、次はじゃんじゃん実践で使ってみましょう!
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