「英語の冠詞がよく分からない…。」
「同じ単語でも、a が付いたり付かなかったりするのは、どんな理由があるんだろう…。」
「冠詞のルールを、ちゃんと理解したい!」
この記事は、そんなお悩みを持った方に向けて書いています。
目次
冠詞とは
冠詞の種類
a (an)/the/無冠詞 それぞれの役割と使い方を、順番に見ていきましょう。
a (an)
a (an) は、ある名詞が1つであることを表す言葉です。それが “どの1つであるか” までは、特定されません。話の中で “a+名詞” が登場すると、聞き手は「自分にとって新しい情報」「一般的なもの」「特定する必要の無いもの」が表されていると想定します。ちなみに a (an) は、数詞の one が、歴史の中で短くなってできた言葉だと言われています。
■ I went shopping yesterday. I bought a coat and a dress. (昨日ショッピングに行きました。コートとドレスを購入しました。)
→ 聞き手は「あれ、コートとドレスの話なんてしたかな?」等と疑問に思うこと無く、新しくコートとドレスをイメージします。
a (an) は、this (これ) や his (彼の) といった、他の限定詞と比べると分かりやすいです。this も his も、特定のモノに明確に焦点を当てます。一方 a (an) は、特定の何かに焦点を当てる訳では無く、とにかく “その名詞の1つ” を取り出します。
a と an の使い分け
a (an)をつける名詞の頭の発音によって、a と an のどちらを使うかが決まります。子音で始まる場合は a、母音で始まる場合は an をつけるルールです。スペルではなく、発音で使い分けられる点に注意しましょう。
the
the は、文に出てくる名詞が 特定のモノ (コト・人) であることを示す際に使う冠詞です。会話の中で “the+名詞” が使われると、聞き手は「自分がすでに知っているもの」「すでに文脈の中で登場しているもの」「特有のもの」が示されていると想定します。
■ I went shopping yesterday. I bought a coat and a dress. The coat was reasonable, but the dress was expensive.(昨日ショッピングに行きました。コートとドレスを購入しました。コートはお手頃価格でしたが、ドレスは高かったです。)
→ 聞き手は the coat と the dress が、それぞれ文脈の中ですでに登場した、昨日ショッピングに行った際に購入したものだと認識します。
無冠詞
記事の冒頭でお伝えしましたが、冠詞とは “文に出てくる名詞をより明確に示すための、限定詞の1つ” です。概念・世の中全般のモノ・他に同質のモノがない存在 などを示す場合は、そもそも限定することができません。そのため、冠詞はつきません。この冠詞がつかない状態を、無冠詞と呼びます。
冠詞のルール
英語の名詞は、その時々の使われ方によって、可算名詞の単数形/可算名詞の複数形/不可算名詞の、3通りに分類できます。
このパターンごとに、冠詞の付け方に関してルールがあります。1つずつ、見ていきましょう。
尚、可算/不可算について詳しく知りたい方は、こちらをご参考ください。
名詞の可算/不可算まとめ|使い方の違いや見分け方とは?
可算名詞の単数形
英語には、名詞をより明確に示すための “限定詞” があります。例えば、these two books (これら2冊の本) の these (これら) や two (2冊の) は、どちらも限定詞です。
限定詞の中でも、冠詞・指示詞・所有限定詞と、一部 数量詞をあわせて、Central-Determiners と呼びます。名詞を可算名詞の単数形として扱う場合、この Central-Determiners を、必ず1つ付ける必要があります。
言い換えると、文の中で名詞が “可算名詞の単数形” として使われていて、かつ冠詞以外の限定詞が置かれていないならば、a (an) か the を必ず付ける必要があります。
※ 限定詞について詳しく知りたい方は、こちらをご参考ください。
限定詞まとめ|主な種類と使い方を、わかりやすく解説!
尚、仮に可算名詞の単数形に限定詞が付けられなかった場合、以下のように意味が変化します。
■ 名詞が可算・不可算の両方で使える場合、無冠詞になると、不可算名詞として扱われるようになります。
・ My house has a room for telework.(私の家にはテレワーク用の部屋があります。)
→ room が可算名詞の “部屋” として扱われています。
・ There is still room for growth in Japanese market.(日本の市場には、まだ成長の余地があります。)
→ room が不可算名詞の “余地” として使われています。
英語を勉強していると、よく「a が抜けてるよ」などと言われますが、a が抜けることで、名詞の表すイメージが変わってしまうことが分かります。
■ 名詞が不可算名詞として機能しない場合、ただ文法的におかしい文になります。
・ ○ Would you like to watch a movie?(映画を見ませんか?)
・ ✕ I like movie.
a (an) と the の比較
a (an) と the、それぞれを使った場合で、表現される内容の違いを、例文で見てみましょう。the が使われると、a (an) と比べて「聞き手がすでに存在を知っていて、何について話しているかが分かる」「特定性・特有性がある」ようなニュアンスが表現されていることを確認しましょう。
■ I’ve found a problem.(問題点を見つけました。)
■ Did you manage to solve the problem?((聞き手が認識のある問題に対して)問題は解決できましたか?)
■ Do you have a pen? (ペンを持っていますか?)
■ I found the pen you lost.(あなたが無くしたペン、見つけましたよ。)
■ She is a tall girl.(彼女は、背の高い女の子です。)
■ She is the tallest girl in our class.(彼女は私達のクラスの中で、一番背が高い女の子です。)
可算名詞の複数形
名詞が可算名詞の複数形として使われる場合、そもそも数が2つ以上存在しています。そのため、数が1つであることを表す a (an) は、可算名詞の複数形につけることは出来ません。
尚、可算名詞の複数形に冠詞がつかない場合、”世の中全般のモノ” として扱われます。
■ I hate loud noises.(私は大きな音が嫌いです。)
■ I like movies.(私は映画が好きです。)
the と 無冠詞 の比較
可算名詞の複数形に the がついている時と、無冠詞の状態で使われている時の、違いを見てみましょう。the のついた名詞が無冠詞になると、the の特定性が無くなることが分かります。
■ I take the children to the park.(子供たち (聞き手も認識している子供のグループ) を公園に連れていきます。)
■ Children learn quickly.(子供は素早く学ぶ。)
不可算名詞
the と 無冠詞 の比較
不可算名詞においても、the の有無によってニュアンスがどう変わるか、例文で確認しておきましょう。
■ I take the children to the park.(子供たち (聞き手も認識している子供のグループ) を公園に連れていきます。)
■ Children learn quickly.(子供は素早く学ぶ。)
まとめ
それでは最後に、冠詞のルールについておさらいしましょう。
- 冠詞とは
- 限定詞の1つで、a (an)/the がある
- 何の限定詞もつかない状態を、無冠詞と呼ぶ
- 冠詞の種類
- a (an):数が1つであることを表し、どの1つであるかは特定されない
- the:特定のモノ (コト・人) であることを示す
- 無冠詞:名詞をそもそも限定しない時は冠詞もつかず、その状態を無冠詞と呼ぶ
- 冠詞のルール
- 可算名詞の単数形:a (an), the のみ使える
- 冠詞 a (an), the を含む Central-Determiners を、必ず1つ付ける必要がある
- 可算名詞の複数形:the もしくは 無冠詞のみ使える
- 数が2つ以上存在するので、数が1つであることを表す a (an) は使えない
- 不可算名詞:the もしくは 無冠詞のみ使える
- 数を数えられないので、数が1つであることを表す a (an) は使えない
- 可算名詞の単数形:a (an), the のみ使える
はじめの内は意識して使い分けて、だんだんと慣れていきましょう!
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